「ウオォォォォォォォッ!!」

俺は自分の力の全てを開放した、それは怒りと闘争心に満ち溢れたとても心地よい感覚だった。

「ほう、貴様も俺と同じ狩猟者だったのか」

狩猟者?何を言っているんだ?

「駄目です、耕一さん!」

髪の長い女性が何かを叫んでいる

「耕一さん、鬼に負けないで!」

こんどはボブヘアーの女の子だ。二人とも親身になって俺のことを心配してくれているが、あいにく俺は耕一ではなく竜彦だ。

「行くぞッ!」

少年が…誰だ?見た事もない青年が駆け込んでくる、俺はとっさに腕を振りかざし叩き落とした

ブォン!

腕の軌跡が真空の刃となって奴に襲い掛かる

「グハァァッ!」

瞬間に奴は引き裂かれ、細切れになって宙に舞う

「耕一さん!」

だから俺は竜彦だって!

「耕一さん…」

「もう駄目よ、楓…彼はもう耕一さんじゃないわ」

ちょっと待て、この会話どこかで?

「貴方を、殺しますッ!」

と言うと女は目を真紅に変えると髪を浮かせ、生涯で感じたことのない気配を発した

「姉さん!」

「さよなら、耕一さん」

グシャァァァァァ!

彼女の爪が体を、喉を切り裂く、血が溢れ出て止まらない

「耕一さん、どうして…鬼に負けてしまったのですか」


こ、これ…どうやら別世界に紛れ込んできたようだ。しかも俺はこの世界を、名前を知っている。その世界は…




「雫」




「え!?」

「姉さん、この人…耕一さん?」

「えっ?えっ? えーっと」

「でた、千鶴さんの大ボケ!きっと俺と耕一を間違えたんだろう?」

俺は最後に力を振り絞って主人公の耕一風に言ってやった

「ああ、懐かしいよ…学生の時以来だ、夜中までプレイしたものだ…できるならもう一度、やりたかったよ…雫を」

全てを思い出した、彼女の名は楓。何かを喋っている様だ、だが俺にはもう何も聞こえない

「これは痕ですよ?」


ボケていたのは俺の方か…
俺は深い眠りについた。




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