10 years later

〜 その後 〜

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『…ボクね、ハルに……謝んなきゃいけないコトがあるんだ…。』
『――ボク……初めてじゃ、ないの……。』
『――ン……判ってたと、思うケド……ウン……その――』
『――ボクね……』
『…ボク、スキなヒトが、いたの……。』
『大きくって、たくましくって、ボクのコト、見守ってくれてて――とっても、大切な、ヒト――。』
『――ボク、その、ヒトに……はじめて……あげちゃったの……。』
『ン……今でも、そのヒトは、大スキ――。…でも、でもねっ、』
『……それはねっ、今……今、…ハルを……スキなのとは、矛盾、しないの……。』
『…ボクは、そのコト……後悔、してない……。ボクは、そのヒトのコト、大スキで……だから、ボクは、自分のしたコト、間違ってなかったって、思ってる……でも――でも、』
『…でも…やっぱり、ハルにしてみれば…こういうのって、ヤだよね……だから、…だから――ボク、謝んなきゃイケナイ…。――ゴメンね…。』
『…………。』
『――ケド――』
『…ケド、ハル――ボク……ハルのコト、愛してるよ……誰よりも、愛してる……それは、ホント……信じてね……。』
『――ハル――』
『…ボクね、ハルに出逢えて…よかったよ……。』
『愛、してる……スキだよ……!!』

誰しも、刻の流れを止めることは出来ません。この世界でも、それは同じ――
フィムが、アルフェルムと出逢い、デミーと会ってからのち、様々な出来事がありました。
幾つかは、とても重大なことでした。それこそ、彼らの人生を大きく変化させるような――

――だけれど――

それでも、彼らは生きていきます。この世界に生まれてきた者たちとして、その義務を、果たすために。

そしていつしか月日は流れ、彼女たちも、女性として成熟し――

フィムは、アルフェルムとの間に子を授かります。――ヒトと、亜人間の子供――それは、この先、並々ならぬ苦労が待ちかまえていることを意味します。しかし――それでも、彼女にとっては、待ち望んだこと――確かな幸せの形――

そしてまた、デミーも――

彼女もまた、父づてに、勉強好きで、気の弱い、だけれど彼女をとても大事にしてくれる、ある年下の男の子と知り合います。――闊達なデミーと、おとなしくて気弱なハルは、きっと合う組み合わせだったのでしょう、最初こそ、二人ともためらいもあったようですが、やがて、二人は恋に落ちることになります。そして、彼女たちもまた、子供を授かり、子を育て――

アルフェルムやフィムとも、いつしか疎遠になり、合うことも少なくなり…けど、思い出はいつでも心の中に留まり、それを思い起こすたび、鮮明に蘇ります。

何年か後のデミーが、風は冷たいけれど日差しの柔らかな秋のある日、飛び去る鳥を見上げて何を思うのか――
そんな切なさが、伝われば、幸いです。


〜 その後 〜
…若干持っていき方が強引か?
本来秋とデミーとかいうテーマだったはずなんですがね(pq

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