私は月に一度くらいのペースで、海外からの輸入をしています。
商品を輸入するといえば大げさですが、
海外サイトの通販を利用すれば個人輸入と同じことです。
eBayのIDを取得して、PayPalで支払いをすれば、誰でもできます。
さすがに英語は読めないとどうしようもありませんが、
我らがグーグル先生もついていることですし、クリックすれば何でも買えます。
▽電子部品の輸入
しかし植物の苗木となると、検疫という壁があって簡単にはいきません。
その中でも花卉植物の輸入は比較的簡単だと思います。
たとえば、クリスマスローズやジャーマンアイリス、水仙の球根、
洋ランのフラスコ苗、花のタネなどです。
こういったモノは他にも得意な人がたくさんいるみたいなので、
そちらに任せます。ここでは扱いません。
食虫植物や多肉植物、ランなどは、希少種でなければ輸入できます。
私の得意分野ではありませんが、検疫もさほど厳しくないようで、
ネットでも多くの情報が見つかります。
ただしCITES(ワシントン条約 =
絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)に
ひっかからない種(しゅ)でなければなりません。
私が輸入したいのは、果樹苗やトリュフ菌が接種されたカシの木です。
後者は誰も興味がないでしょうから、
とりあえず果樹苗の輸入についてまとめてみようと思います。
2013年5月19日更新
輸入したい果樹があるなら、
まず、その果樹がどこに分類されるのかを調べねばなりません。
果樹苗の輸入は以下のように四つに分けられます。
▼とても簡単
ポポー、フェイジョアといった果樹は、植物検疫だけで輸入ができます。
日本で大規模に栽培している果樹園もありませんし、
そんなに警戒する病気もないのでしょう。
植物を扱う輸入代行業者であれば、どこからでも輸入できます。
×フェイジョア
▼ちょっと大変
あまりいい例がありませんでした。
個人的な話をしますと、トリュフ菌を接種したオークなどがこれに相当します。
このグループはサドンオークデス病についての検疫が必要になります。
これは米国側での検疫となります。
費用はかからないのですが、これが依頼できないと輸入できません。
一般的には検疫可能なナーセリーのリストから、
苗木を手配することになるかと思います。
たしか2012年あたりから施行されたように記憶しています。
このあたりからナーセリーはもちろん、
検疫をこなせる輸入代行業者も限定されるようになります。
▼かなり大変
ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、クランベリーなど、
大半のベリーがここに入ります。
サクランボやスモモ、ブドウ、カンキツ類もここです。
これらの植物は、サドンオークデス病の検疫はもちろんのこと、
日本に入ってきてからも1年間の隔離検疫が必要になります。
隔離圃場などの確保が必要になりますし、隔離検疫に1年かかります。
検疫に合格せず焼却処分されたり、枯死する個体も多いのですが、
パチンコや宝くじよりはマシだと思います。
×ブラックベリー
▼絶望的
リンゴ、ナシ、マルメロなどの植物は話が早いです。
なんといっても輸入不可能ですから。
バラ科の果樹には、火傷病という大変な病気があります。
この病気はほんの数か月で、果樹園を廃園できるほどの威力を持っています。
そのためこの病気の発生国からは、果樹苗の輸入が禁止されています。
発生国でない国は、日本とオーストラリアくらいしかありません。
マイナーな果樹、たとえばサービスツリーやセイヨウカリンも含まれるので、
なかなか手強いです。
わかりやすく分けるとこんな感じです。
正確な情報は、
植物防疫所のサイト
から得てください。
輸入したい植物が、輸入に際してどのような扱いになるかについては、
隔離栽培が必要な植物一覧が
参考になるかと思います。
これを見ると、ナシやリンゴであっても、
隔離検疫を受ければいいように見えますが、そうはいきません。このように
植物防疫法施行規則で、
見事に禁止されています。
防疫法は毎年数回、更新されています。
輸入代行業者は日本のルールは関知しないので、
変更点だけでも目を通しておかないと、面倒なことになります。
たとえばチェリモヤなどバンレイシ科の一部の植物は、
2012年から検疫レベルが上がっています。
ところで、大きな表から植物の名前を検索するのは大変です。
ブラウザから見ているのであれば、[Ctrl]+[F]で検索するといいでしょう。
ナーセリーのカタログから、品種を探すことになりますが、
そのために必要となりそうな単語リストです。
辞書に載っていない訳もありますが、要はわかればいいのです。
たとえば、bear = クマー!! とか書いても役には立ちませんし、
shipping = 梱包と書いても同様でしょう。
Asimina triloba = ポポーの学名
bear = 収穫
botanical name = 学名
brix = 糖度
bud = 芽
bundle 10 = 10個一組
cane = (特にキイチゴの)茎
certificate = 証明書
citrus = カンキツ類
common name = 通称
conical = 円錐型の
crop = 収穫
cultivar = 品種
darrowii、darrowi = スノキ属の種の一つ、ブルーベリーの一種
EMS = 国際郵便
erect = 立性
export = 輸出
floricane = キイチゴの2年目の枝 →primocane
galon = 米国では3.8L
graft = 接ぎ木
import = 輸入
leaf = 葉
nursery = 苗木生産業者
order = 注文
PA = ペンシルヴェニアの略号
patent = 登録(品種)
pawpaw = ポポー、パパイヤの別名
pollen = 花粉、pollination = 受粉
phytosanitary = 植物検疫の
primocane = キイチゴの当年枝 →floricane
prolific = 多収
quince = マルメロ
raspberry = ラズベリー
ripen = 収穫期
root = 根
Rubus = キイチゴ属(の学名)
Rubus idaeus = ラズベリー(の学名)
seed = 種(タネ)、seedling = 実生苗、幼苗
semi-erect = 半立性
shipping = 送料
soil = 用土
taste = 味
thorn = トゲ、thornless = トゲなし
USDA = 米国農務省
USPP = US plant patent、米国登録品種
Vaccinium = スノキ属
variety = 品種
zip code = 郵便番号