「国語表現」の実践報告
(資料V) ※本校の生徒作品 「あるスニーカーの生活」
ちょっとどうしてそんなに汚すのよ。昨日、私を見つけた時、すごく嬉しそうな顔してわたしを買ってくれたでしょ。それで私この子の所なら幸せだと思ったから、ここへ来たのよ。こんなことだとわかってたら、ここへは絶対にくることなんてなかったのに。ああ、それに体中がとても痛い。もう少し丁寧に扱ってよね。 ねえ、ちょっと。朝からどこへ行くつもりよ。私はねえ昨日、誰かさんが痛めつけてくれたおかげで、体中が痛くて眠れなかったのよ。もう少し寝かせてよ。あら、ここはどこなの。この辺では一番大きな建物みたいね。あら、同じ服を着た人ばかりだわ。あっ、これ知ってるわ。だってお店の人も同じ服を着た人ばかりだったもの。店員さんは、みんな同じ服を着て仕事をしていたのよ。これ、何とかって言うのよね。えーっと、そうよ制服よ制服って言うのよ。でも、店員さんの制服は、男の人用と女の人用の二種類だったけど、でも、この子たちの制服は1・2・3・4……よくわからなくなっちゃった。同じ制服なのに上下の組み合わせが違っているわ。ここはどこなのかしら。今なんか書いてあったわ。下からじゃよく見えなかったけど、学校って書いてあったから、学校なのね。私、学校なんて初めて、なんかおもしろそうだわ。早く行きましょうよ。ここから、中へ入っていくのね。なんだかわくわくしてきたわ。あら、ちょっと何してるの。ちょっと待ってよ。もしかして、私をここへ置いて行くつもりなの。ちょっと待ってよ。そこのスリッパ。私と変わってよ。行っちゃった。私がいなくなってもいいのね。まあ、いいわ。友達が出来そうだし……。ここも悪くないわね、三日で、みんなと友達になっちゃった。あら、この人見かけたことがないわね。どうして私たちをジロジロ見ているの。ちょっと待って、そのスニーカーはあなたのじゃないでしょ、つれていかないでよ。誰か止めてよ。これじゃ怖くて学校にも来られなくなるわ。何とかしなくちゃ。
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