童話作家 
 村上 志津子(しいこ)さん(37)
 松阪市挽木町



童話を子どもの友だち≠ノ
全国レベルの各賞受賞


 本は、自分の側にいてくれる友だち≠セった。だから今は、子どもたちを楽しませる身近な友だち≠ノなれるような物語を書いていきたい―と話す。


 津市出身。元気いっぱいで話す笑顔が印象的だが、子どもの頃はいじめに遭い、図書室が安らぐ居場所。その時読んだ「赤毛のアン」や「ハイジ」「てぶくろ」は今でも大好きな作品という。


 物語を書き始めたのは結婚後。「子どもが生まれたら、自分の創った童話を読ませてあげたい」という思いもあったが、当時は家計が苦しく、冷蔵庫の買い換えも困難。書店で見つけた公募ガイドを見て、賞金狙いで出したのがきっかけ−だという。


 そのとき送った「とっておきの『し』」が、平成十三年の「小さな童話大賞」の俵万智賞、翌年のミセス大賞でも「はしれ ごめんなさい」で優秀賞を受賞。独学が実った。


 表彰式で出版社の担当者から「作品にしてみませんか」と誘われ、平成十五年に受賞作を元に書き直した「かめきちのおまかせ自由研究」でデビュー。


 しかし本が出来上がるまでは出版社とのやり取りが何度も。出版後も店頭に本が並んでおらず、夫の義典さん(四五)と二人で手作りのPOPを持って県内の書店へ営業活動する、戸惑いや苦労も。


やがて同作が「日本児童文学者協会新人賞」に。新人時代しか取れない受賞だけに、一番うれしかったという。


 その後も何冊か本を出版。ファンレターが届くほか、発表した作品が読書感想画の課題図書、学習塾の教材になるなど予想外の反響が。平成十七年末に立ち上げたホームページでは、日々の生活で感じたことなどをブログで紹介している。


 昨年はさらに「ひろすけ童話賞」、今年三月には「三重県文化奨励賞」を受賞。今年の夏に出る絵本は、初めて共通(標準)語で書いたといい、今後は小学高学年向けにも挑戦していきたいという。


 趣味は家庭菜園、ビーズ細工、漬物作り。野菜は「芽が出る瞬間が好き」と、種からまいて育てている。


(内田 敬子)


 H19.5.9 第293号

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