津軽民謡歌手
清水愛さん(46)
四日市市赤水町
“ふるさとの唄”広めたい
いつかオリジナルCDを
県内唯一の津軽民謡歌手。偶然の出会いで才能を見い出され、この道へ。「難しい」「堅苦しい」と思われがちの津軽民謡だが、明るいパフォーマンスで聴衆を魅了。幼いころに親しんだふるさとの唄≠広めている。
青森県上北郡の出身。雪深い冬の間、人々の楽しみと言えば歌や手踊り。それをまねて遊び、高校では民謡クラブに入るなど、うたう楽しさを覚えて育った。
卒業後、東京を経て二十一歳で四日市市へ。しかし津軽民謡とは縁のない生活で「たまに、運転しながらうたうぐらい」だったという。
転機が訪れたのは二年半前。あるライブの打ち上げで、同市羽津町の津軽三味線演奏家、松永義仙さんに出会った。
「出身は?」「青森です」。津軽五大民謡と呼ばれる「津軽よされ節」「津軽あいや節」をうたって見せた。翌年から松永さんが主宰する「津軽民謡一座義結会」に参加。ライブ活動を始めた。
松永さんは「声の輝きが違った。非凡な人を発見したと、奇跡を見る思いでしたね」と当時を話す。太鼓担当の橘はこべさんと三人で、公演のほか津軽民謡の成り立ちや人々について語る「人権講座」もしている。
気軽に聞いてもらいたいーという思いのパフォーマンスは会場を引き込み、手拍子やかけ声で一体に。お客をウキウキさせる魅力があり、大阪で開かれた青森県民謡全国大会では、入賞を果たした。
昨年三月に父が亡くなり、告別式でうたった。「歌手のことは誰にも話していなくて。父も最後に聞いてくれたかな」。
人の心に残るような活動をしていきたい。いつかオリジナルが入ったCDを出せたらーと清水さん。毎月第三月曜は市内のフルハウスで午後七時から公演を。
一方では、役者として数多くの舞台でも活躍。来月に三重テレビで放送の県民参加型ドラマに出演する。
市内で一人暮らし。子ども二人は県外在住。(福家 明子)
H19.5.23 第294号
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