舞台照明家
(有)ケイ・スタッフ取締役
笠井瑞穂さん(46)
津市高野尾町
華麗な舞台を光で演出
芸術支える縁の下の力持ち
ステージを華やかに演出する舞台照明家。重い機材や高電圧を扱い、常に危険と隣り合わせだが「出演者にとっては晴れの舞台。その人を輝かせたい」と、芸術文化を陰で支えている。
同社は昭和五十八年に創業。舞台の照明、音響、美術、ホール管理などを手掛ける。京都市出身の笠井さんは、経営者で夫の峰生さん(53)との結婚を機に、この世界へ飛び込んだ。
催しの進行中に落雷で停電したり、台風の影響で予定が変更し、わずかな時間で打ち合わせをし直したりと、不測の事態もしばしば。
しかし「一つの舞台を一緒に作り上げるのが、この仕事の魅力。うまく仕上がり、喜んでもらえたときはうれしいです」と。
津市内の高校の吹奏楽部が開いた定期演奏会でのこと。顧問の先生が転勤することになり、これが最後のステージ。「先生のために」と一丸となって挑んだ生徒たちの姿に、笠井さんもいっそう力が入った。「最後は涙、涙でしたよ」と振り返る。
一方、小学二年から二十二歳まで五人の子どもの母でもある。夜遅い帰宅や学校行事に参加できないときがあり、理解ある家族には感謝しているという。
長男、小堀力さん(22)は東海地方を中心に活動する歌手の二人組「うたまろ」のメンバー。コンサートを担当することもあり、夢を追いかける息子を温かく見守っている。
さまざまな機材が設置される舞台の上は、ちょっとした不注意が大事故につながる。照明技術者一級、二種電気工事士、認定電気工事従事者など各種の資格を持ち、安全運営を心がける。
愛知県舞台運営事業協同組合の青年部監事、女性部担当理事を務め、技術面の品質保証を与えた「劇場管理運営技術者制度」の普及に努めている。
美しいものに触れて感性を磨き、スキルアップを忘れない。「感動を与えるステージ、元気になったわ≠ニ言われるようなステージを作りたい」と話していた。(福家 明子)
H19.7.11 第296号
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