H19.7.11 第296号発行分

・四日市公害判決から35年 「考える集い」と記念誌発行で訴え
・今年も奨学金などを贈呈 国際ソロプチミスト三重
・日本の伝統美を後世に
・30周年で記念冊子発行 生活改善グループAgriロマン三重
・まちづくり≠学ぶ 今年も「地域クリエイター養成塾」
・東海北陸の全酒販青年協
・ボランティア相談窓口
・病気克服後初の海外レース
・歯の健康まつりに1500人 松阪・歯科医師会が開く
・すい星探索家の木内さん 飯高町の水屋神社で講演
・日野原重明先生が講演
・星座の歴史や発見法を学ぶ
・明治から現代まで一堂に 県立美術館「水彩素描のすべて」展
・色彩豊かに郷土を描写 津市 小林さんが絵画展
・テーマや画風に個性が
・プロ棋士がレクチャー
・第二地銀東海地区協会会長


四日市公害判決から35年
「考える集い」と記念誌発行で訴え
「過ちを繰り返さないで…」過去を再認識し警鐘

 高度経済成長期に、四日市市のコンビナート周辺で起きた「四日市公害」。特に四日市ぜんそくは、多くの人を苦しめ、反公害運動を盛んにした。二十四日は判決が出て三十五年。同市の市民団体は、節目に合わせて記念誌を発行。いまだに各地で起こる公害問題にも言及、過去を再認識しながら「過ちを繰り返さないように…」と警鐘を鳴らしている。(内田 敬子)

 公害の歴史は昭和三十年代にさかのぼる。石油化学工場が大量の水を使い、排水を海へ垂れ流したため第一コンビナート近くの漁師町(磯津)に被害が出た。

 東京築地市場から「伊勢湾(北部)で獲れた魚は油くさいので、厳重に検査する」という通告。磯津の名が出ただけで、買い叩きやキャンセルも続き、漁民は生計が苦に。

 陸では一日中、騒音や振動、悪臭やすすなどが目立ち、地域の中山医院にはぜんそく発作を起こした住民の駆け込みが出始めた。原因不明で「塩浜ぜんそく」と呼ばれるようになった。

 その後、第二コンビナートの操業開始もあって隣接地区でも同様の病人が出るようになったため「四日市ぜんそく」の名前が付いた。

 苦しくて自殺した人、乳児や老人を避難させたり、学校を移転させるなど問題は深刻。公害犠牲第一号の人は肺気腫で死亡。遺言によって解剖したところ「大気汚染によるもの」と学会でも発表された。

 住民の反対運動が高まり、昭和四十二年に県立塩浜病院に入院中の磯津地区の公害病認定患者九人が、第一コンビナートの企業六社を相手に訴訟を起こした。

 市内には患者らを支援する団体も発足。このうち「四日市公害と戦う市民兵の会」は、月刊ミニコミ紙「公害トマレ」を四十六年から五十四年まで毎月発行。患者宅へ手配りした。

 メンバーだった伊藤三男さん(六一)は、「毎月の訪問を楽しみにしてくれた。相談に乗ったり、話を聞くだけでも支えになっているんだと実感した」と当時を回想。

 澤井余志郎さん(七八)は当時、労働組合協議会の事務局長をしていた。訴えられている企業が、同協議会に加盟しているため心境は複雑だったが、住民のために活動したという。

 四十七年の判決が出てからは運動も終息した。しかし澤井さんは「公害認定患者が存在、自然が回復しない限り公害は終わった≠ニ言うべきではない」と疑問を持ち続け、十年ほど前、有志とともに「四日市再生・公害市民塾」を結成した。

 例会やホームページでの情報発信、子どもたちへ事実を伝える語り部などの活動を続行。伊藤さんは、約一年かけて「公害トマレ物語」(A4判、三一〇ページ、二千円)を製作。これは「公害トマレ」の全号の目次・解題と回顧録、澤井さんのインタビューなどをまとめたもの。

 二十二日午後一時三十分から市総合会館で「四日市公害を考える集い」を開催。東京理科大学・吉村功教授が「四日市公害と戦う市民兵の会運動を振り返って、今思うこと」などをテーマに参加者らと話し合う。



今年も奨学金などを贈呈
国際ソロプチミスト三重 留学生や市民団体に
 国際ソロプチミスト三重(大田不二会長)は、県内の大学に通う私費留学生や市民団体などに、奨学金や助成金を贈った。

 毎年恒例の行事で、留学生へは今年で十九回目。今回は三重大四人、鈴鹿国際大二人、四日市大一人。

 このほど行われた贈呈式では、大田会長は一人ひとりに手渡し、留学生らは感謝の気持ちをスピーチ。この後、交流会もあった。

 助成金は、障害をもつ子どもたちとの交流など、社会貢献に取り組む伊勢市の皇學館大学ボランティアサークル「たんぽぽの会」や津市の小さなブラジル図書館へ贈った。

 このほか、本年度のソロプチミスト三重賞は、子育ての電話相談や児童虐待の予防・防止活動をする「NPO法人MCサポートセンターみっくみえ」の松岡典子さんが表彰された。

 フィリピン出身のオプレシオ・メルシーベラさんは「地学の勉強をしています。将来は高校の先生に。国へ帰ったら日本で学んだことを伝えたい」と話していた。



日本の伝統美を後世に
旭理容美容専門学校  紋服・花嫁総仕上げ
 紋服、花嫁着付け技術の総仕上げが、このほど津市上浜町の学校法人・長谷川学園、旭理容美容専門学校で行われた。

 同校では開校以来、日本の伝統美を後世へつなげていきたい―と、伝統的な花嫁着付け技術を学習。着物や和装道具の扱い方を習得して就職後にも役立っている。

 美容科二年生七十五人が互いにモデルになって総仕上げ。男子は正装羽織袴姿、女子は化粧を施し、文金高島田のかつらと打掛衣装を着用。同校の長谷川早苗学園長が一人ひとりの出来栄えを審査、アドバイスをした。


30周年で記念冊子発行
生活改善グループ Agriロマン三重
 Agriロマン三重(豊田栄美子会長)は、結成三十年を記念した冊子「むらからの おくりもの たからもの」を出版した。

 昭和五十年、三重県生活改善実行グループ連絡協議会として結成。農業生産、特産品の加工や農村に伝わる郷土料理の伝承などの活動を続け、平成七年に今の名称に。現在約百三十人の会員がいる。

 冊子はこれまでの活動記録と、伝統文化を次世代へ残すため一年がかりで製作。県内各地区にあるグループごとに取り組み内容や郷土料理、昔あそびなどを掲載している。

 縦・横20センチ。百十ページ。千部発行して公立の図書館にも配布。一般へは千五百円で販売する。

 問い合わせは、県中央農業改良普及センターTEL0598(42)6715



まちづくり≠学ぶ
今年も「地域クリエイター養成塾」
 津市の市町職員、県職員が地域のまちづくりについて学ぶ「地域クリエイター養成塾」が今年も始まり、このほど開講式と第一回研修会があった。

 県自治会館組合主催の研修業。平成四年から毎年行っており、今年で十六年目。

 一年間かけて、地域づくりに欠かせない人材育成、人的ネットワーク形成を目ざすもので、これまでに約二百七十人の卒業生を送りだした。

 フリージャーナリストの亀地宏さんが塾長を務め、今回は津、四日市、亀山などの職員ら十四人が参加。

 受講生は来年三月まで研修会、全国の地域づくりの先進地の取材・報告会などを通じてまちづくり≠ノついて学ぶ。



東海北陸の全酒販青年協
松阪で勉強会
 全国小売酒販青年協議会は、このほど松阪市中央町の松阪フレックスホテルで第四十七回東海北陸ブロック別勉強会を開催。東海北陸七県の酒販青年会員約百人が出席した。

 来賓の祝辞や前田晃壱会長のあいさつの後「コンビニ経営の光と影」と題して、コンビニエンスストア経営者が対談した。

 また中元シーズン用の全国酒販協同組合連合会の推奨商品の展示や酒造メーカー、ワイン輸入業者などの出展ブースもあり、会員は担当者から熱心に話を聞いていた。

 主管の県小売酒販青年連合会、井上将郎会長(41)は「何かのヒントを持って帰り、経営に生かしてもらえたら」と話していた。



ボランティア相談窓口
松阪市民活動セに開設
 松阪市日野町、松阪市市民活動センターは「はじめてのボランティアなんでも相談日」を毎週火曜日に設け、ボランティアに関する相談を受け付けている。

 市民から「ボランティアをしたい」という相談が増え、窓口の重要性を感じた。

 イベントやIT関連、会計、広報など内容も幅広く、スタッフが得意分野に分かれてアドバイスする。

 同センター・北西珠実さん(28)は「昼の空いた時間を使いたい、好きなことを役立てたいなど、意欲的な声が多く、やる気の芽を応援したい」と話していた。



病気克服後初の海外レース
「チームヨシハル」の鈴木さん
 昨年八月、本紙の「生きがい」で紹介した鈴木義春監督(六三)率いる「チームヨシハル」が、このほどイギリス領マン島で行われた二輪車レース「マン島・ツーリスト・トロフィー・レース」に参戦した。

 同レースは世界的に伝統があり、かつてホンダが優勝し、世界に認められるようになったという大会。

 鈴木さんは以前、ホンダの鈴鹿製作所で二輪製造に携わり、会社のレーシングチームにも参加。「ホンダで二輪にかかわる人にとっては憧れの大会。今年は百周年でどうしても出たかった」という。

 しかし二年前、脳こうそくで右半身まひや言語障害に。海外への移動や食事などに不安があったが、妻朝子さん(五七)やメンバーの協力で現地へ。

 十数年来の知人の元でホームステイ。往年のオートバイや歴代優勝ライダー来場などの記念アトラクションを楽しみ、「スーパースポーツTT」の部にはアメリカ人ライダーを招いた。

 一周六十キロを四周して競うが、公道コースのため直線やアップダウン、でこぼこ道も。結果は予選二十五位、決勝三十三位。

 「上位に入れなかったが、レースの出来は七十点。シルバーエイジへ夢を与えるつもりが、逆に現地でお年寄りにパワーをもらった」と話していた。



歯の健康まつりに1500人
松阪・歯科医師会が開く
 松阪地区歯科医師会(吉田昌夫会長)は、歯と口腔(こうくう)内の健康について考える「歯の健康まつり2007」を、このほど松阪市のコミュニティ文化センターなどで開催。約千五百人が来場した。

 健康な歯や図画作品の表彰のほか、口腔外科医による口腔がんの検診、伊勢保健衛生専門学校の生徒による紙芝居、歯科衛生士の磨き方指導などがあった。

 また、お年寄りの歯を審査する「歯っぴいライフコンクール」では、最優秀賞に同市小野町、池山多みさん(89)、優秀賞に同市大口町の斎田耕治さん(75)が選ばれた。

 各最優秀賞は次の通り。【よい歯の児童生徒表彰】幼稚園の部=井坂綾那(射和)▽小学校同=碩野健太(宮川)▽中学校同=白塚愛美(中部)【歯・口の健康に関する図画ポスターコンクール】小学校低学年=野村亜未(徳和)▽同高学年=花井肖(第四)▽中学校同=大西菜月(久保)



すい星探索家の木内さん
飯高町の水屋神社で講演
 長野県在住のすい星探索家、木内鶴彦さん(53)の講演会がこのほど、松阪市飯高町の水屋神社で催された。

 大阪市の環境保護団体、ブループラネットNGO(寺井敏子代表)の主催。地元住民ら約五十人が参加した。

 木内さんは独自の軌道計算で、四つのすい星を発見。その一つが地球に衝突すると示唆、映画「ディープインパクト」「アルマゲドン」のモデルになった。現在は、子ども向けの観望会や各地での講演会で、光害や環境破壊について訴えている。

 また二十二歳の時に、例がない三十分の臨死体験≠。それを交えて「すべての生き物、もちろん人間にも十人十色の役割がある。それが融合して自然界が守れる。生態系の循環を考えながら、生きていかなければ」と話していた。



日野原重明先生が講演
来月28日に県文化会館で
 著書「生き方上手」で知られる、医師・日野原重明氏(九五)を招いたフォーラムが、来月二十八日午後二時から津市の県文化会館で開かれる。

 日野原氏は明治四十四年生まれで山口県出身。臨床医の傍ら、聖路加国際病院理事長、(財)ライフ・プランニング・センター理事長、日本音楽療法学会会長などの要職につき、執筆・講演活動なども続けている。

 二部構成で、はじめに「新しい人生を始めるビジョン―各年代の方々のために」をテーマに講演会。

 この後、歌う弁護士・大塚ラ子さんのコンサートがあり、日野原氏も共演する予定。

 入場料千円(全席自由)で定員八百人。

 チケットは今月十五日からチケットぴあで販売する。

 TEL0570(02)9999(Pコード 609―467)



星座の歴史や発見法を学ぶ
県立みえこどもの城 プラネタリウム倶楽部
 松阪市立野町県立みえこどもの城で、このほど「プラネタリウム倶楽部U」が開かれ、親子連れなどでにぎわった。

 五年程前から毎回、異なるテーマで星や宇宙の話などをプラネタリウムで紹介。今回は、参加者と身近に接することができるよう内容を新しくした。

 講師は天体写真家・谷川正夫さんと天文研究家・浅田英夫さん。夏の星空の話、星座の誕生から現在までの歴史、星座の決め方・見つけ方など、クイズを交えながら解説。さらに星座早見盤を使って探し方≠説明した。

 終了後には観望会もあり、子どもたちは熱心に星空を眺めていた。

 松阪市の森本迅くん(10)は「星座早見盤の見方も分かり、とても楽しかった」と話していた。



明治から現代まで一堂に
県立美術館「水彩素描のすべて」展
 県立美術館(津市大谷町)は、十六日まで企画展「水彩素描のすべて」を開いている。十七年ぶりの催しで水彩画や水彩素描約二百三十点を展示。

 油絵や彫刻を生み出す習作的なものから完成作までを並べて、明治から現在に至るまでの移り変わりを紹介している。

 近代日本水彩画の第一人者、三宅克己の「箱根双子岳」や日本画家・速水御舟の「花の傍下絵」などのほか、伊藤小坂をはじめとする県内作家のものも。

 なかでも洋画家・藤田嗣治の「ラマと四人の人物」と題した作品は、黒い墨による鋭い線と陰影が、水彩の色彩による描写で緊張感を感じさせる。

 同館学芸員・田中善明さんは「この機会に、作家それぞれの個性の魅力を感じてもらえればー」と話していた。

 十四日は学芸員によるギャラリートークもある。観覧料は一般五百円、高・大生四百円、中学生以下無料。開館時間は午前九時半から午後五時まで。



色彩豊かに郷土を描写
津市 小林さんが絵画展
 津市久居明神町の会社社長、小林俊一さん(65)の個展が、このほど同市一志町の松尾表具店で開かれた。

 食品会社を経営する傍ら、六十歳から市内の絵画グループ「四季」で油彩画を。旧久居市展で教育委員会賞を受賞したのを機に、本格的に始めた。

 県洋画家協会、同市久居洋画作家協会などに所属。同市白山町のアトリエを拠点に、ブログ(インターネット上の日記)でも作品を発表。今年の第七十三回旺玄展では初挑戦で、入選を果たした。

 今回は九回目の個展。「郷土 津を歩く」と題して錫杖湖、青山高原、矢頭山など、季節によって表情を変える約十カ所の油彩画、水彩画十五点を展示した。

 色彩豊かで幻想的な雰囲気が特徴。「山あり谷ありの人生。少しでも皆さんのいやしになれば。できる限り絵筆を持ち続け、多くの作品を残していきたい」と話していた。

 次回は十一月一日から十一日までかめやま美術館(亀山市太岡寺町)で。



テーマや画風に個性が
洋画の「一洋会」も作品展
 津市一志町を拠点に活動する洋画グループ「一洋会」の第二回作品展が、このほど同市丸之内養正町、NHK津ぎゃらりーで開かれた。

 三十代から七十代の男女十人が油彩、アクリル画など二十八点を展示。メンバーの篠木信子さん(69)は、旅行で訪れた美濃路や飛騨古川の風景画三点を。これからは大作にも挑戦していきたいという。

 同会は昨年五月に発足。長谷川實代表(69)は「画歴に関係なく、洋画を書くことが好きな仲間の集まりです。各自テーマや画風があるので個性豊か。来場者からお褒めの言葉をいただきました」と話した。



プロ棋士がレクチャー
来月12日伊勢市で 初心者向けの将棋教室
 初心者のための「将棋教室」が八月十二日に伊勢市船江の船江会館で開かれる。

 日本将棋連盟県支部連合会(清水明会長)の主催。県内在住で初心者であれば、幼児や小中高校生、女性、お年寄りなど、誰でも参加できる。

 講師は、プロ棋士の中山則男六段、室田伊緒女流一級。こまの呼び名や動かし方、定跡、詰め将棋、マナーなどを初歩から指導する。

 時間は午前十時から午後三時まで。受講料は無料。昼食は各自持参だが、同会事務局で弁当(四百円)のあっせんもする。

 当日参加、事前申し込み不要。詳細は事務局・将棋センター歩へ。



第二地銀東海地区協会会長
第三銀行の谷川頭取が就任
 第三銀行(本社・松阪市京町)の谷川憲三頭取が、このほど第二地銀東海地区協会会長に就任した。

 任期は二年。地域金融機関としての地域の活性化、中小企業金融の円滑化などに努める。

 同協会は、社団法人・第二地方銀行協会と関連により会員銀行の健全な発展を図り、合理的な経営の研究、相互の親睦などに努めるのが目的。同銀行と名古屋、愛知、中京、岐阜、静岡中央の六銀行で組織している。


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