H19.10.10 第300号発行分

・郷土の偉人 「野呂元丈」で地域活性化
・大臣賞に本郷純生さんら 今年の「伊勢茶品評会審査会」
・お年寄りに工芸菓子を贈る
・新会長に青田留美さん 国際ソロプチミスト三重が役員改選
・豊かなセカンドライフ目ざし
・事業者がブログ学ぶ 楠町商工会がIT講習会開講
・FC設立で地域活性化を
・上空から山の絶景撮影
・風景など42点で魅了 全日本大判写真連盟写真展
・ネットラジオ・ツデラジ開局
・優しい夜を描写 いなべ市の岡さん 日本画を常設展示
・店舗を地域交流の場に 築120年超の横田材木店
・自宅に人工岸壁を
・伝統技術を一般にPR
・三重刑務所で恒例の矯正展
・ケータリング業界で初


郷土の偉人 「野呂元丈」で地域活性化
自然と健康を基調に
 薬草学・先駆者の生誕地が、薬草やハーブなどによる“健康づくり”の施設に生まれ変わった。交流が希薄になる地域の活性化を目的に、住民が協力して町の建物を利用、薬草入りの足湯や朝採りの野菜市などを整備。町おこしへの努力を続けてきたもので、一日約三百人が訪れている。(江川 智恵)

 この町は多気郡多気町波多瀬。四百年前、江戸時代中期の八代将軍・徳川吉宗のお抱え医師で、日本薬草学の先駆者といわれる野呂元丈の出生地。

 医学を学ぶため二十歳のとき京都へ。幕府の採薬師として富士、箱根各地で薬草を採取。さらにオランダ語を学んで阿蘭陀本草和解を完成させた。

 郷土の偉人にちなみ、地域の活性化を図ろうと地元の住民組織が町おこしを計画。薬草薬樹公園、元丈の館、足湯を設けた中山一帯を「元丈の里」とし、一般に開放している。

 元丈の末えい、野呂弘昭館長(65)は「自然を大切にし、薬草による健康を考えた施設」を概念に、人々が交流できる場所を提供。地元ボランティアらの協力で整備してきた。

 薬草薬樹公園(五千七百平方メートル)の手入れは薬草部(深田俵造大表)、ハーブの会(高橋みわ代表)、花部会(薗井としよ代表)、桜を守る会(山口市実大表)が中心となって管理。

 さらに約七十人のメンバーは花やハーブを植えたり山道を整備。自宅で採れた茶葉などを提供する人もいる。

 同町所有の「元丈の館」には、野菜などの販売所、薬草にちなんだメニューが並ぶ飲食店も。

 青じそを練り込んだうどん、漬け物などがついた「元丈うどん定食」(五百三十円)が人気。地元の主婦九人が手作りし、「何か土産ない?」という客の声にこたえ、ハーブを使ったクッキーも売っている。

 一方、ハーブや薬草をせんじた抽出液入りの足湯を無料で開放。レモングラスやローズマリー、ドクダミ、ヨモギが入っており、血行が良くなるなどの効果もあり、反響を呼んでいる。

 同町、三井幹夫さん(72)は「毎日利用しています。薬草が入っていて、体が温まっていい。向かい合わせに座って、大勢でわいわいと楽しい。気持ちも若返ります」と話していた。

 また、竹細工や薬草観察、山菜採り、いばらまんじゅう作りなど、地元の人を講師にした自然学校も開かれており、二十一日にはコンニャクづくり体験、十一月十一日には体験参加型のイベント・元丈の里まつりがある。TEL0598(49)3933。

 野呂館長の話

 ボランティアの人々の温かい心が感じられる。ここに来れば、知らない人同士も友達になれる。体験などを通して都市住民との交流の場にも。自然の中で、ゆっくりと団らんの時間を過ごしてほしい。先代の知恵にあやかり、自然と健康を基調とした施設です。



大臣賞に本郷純生さんら
今年の「伊勢茶品評会審査会」
 「第三十五回伊勢茶品評会審査会」が、このほど亀山市の県科学技術振興センター茶業研究室で開かれた。

 八十八夜(五月初旬)前後に収穫された茶で、農家が一番良いと思う一般流通茶から一キロを見本採取。 三部門に二百四十六点が出品された。

 茶葉の形や色つやなどを見る「外観審査」、味や香り、茶の湯の色などを審査する「官能審査」のほか、「成分分析」や茶商による「価格評価」を総合。各部門の最高位に県知事賞を授与し、表彰式は十二月の伊勢茶振興大会の中で行う。

 また、今回も一般から募集した「体験審査員」に二十一人が参加。採点には加わらないが、参加人数は年々増加し、消費者の関心は高いという。関係者から審査方法や、いいお茶のポイントなど説明を受けた。

 受賞者は次のみなさん。

 【普通煎茶の部】

 農林水産大臣賞=本郷純生(鈴鹿市)▼東海農政局長賞=前川良美(多気郡)▼県議会議長賞=佐々木正平(三重郡)▼日本茶業中央会長賞=木下辰美(多気郡)▼関西茶業協議会長賞=山下精一(同)

 【深蒸し煎茶の部】

 農林水産省生産局長賞=(有)茶工房香肌・村瀬貴昭(松阪市)▼県議会議長賞=(有)ヤマキ高橋製茶園・高橋恵子(同)▼全国茶生産団体連合会長賞=(有)マルサ中村製茶・中村勝(同)

 【かぶせ茶の部】

 農林水産大臣賞=坂倉宗男(三重郡)▼東海農政局長賞=小林早由里(同)▼県議会議長賞=坂倉正(同)▼全国茶商工業協同組合連合会理事長賞=小林芳雄(同)



お年寄りに工芸菓子を贈る
松阪の老人介護施設 子どもらが手作りし
 子どもたちが作った砂糖の工芸菓子(シュガークラフト)作品の贈呈式が先月十七日、松阪市若葉町の介護専用型ケアハウス、若葉さわやか苑であった。

 同市中万町のシュガークラフト講師、近田清美さん(52)がさる八月、津市のショッピングセンターで催した親子体験教室で、「敬老の日の記念に、お年寄りに作品を贈ろう」と呼び掛けた。

 賛同した有志四十五人が、一羽ずつ「ひよこ」の装飾菓子を制作。それをあしらって二段重ねの観賞用ケーキに仕上げた。

 この日は参加者を代表、松阪市新松ケ島町の坂田優君(7)、姫菜ちゃん(3)きょうだいが、入居者二人に「いつまでもお元気で」と手渡した。

 近田さんは「シュガークラフトは優しく楽しい工芸。これからもさまざまな施設に届けていきたい」と話していた。


新会長に青田留美さん
国際ソロプチミスト三重が役員改選
 国際ソロプチミスと三重は、このほど役員改選で会長に津市白山町、青田留美さんを選出した。二十九代目で、任期は来年八月まで。

 本年度は、十一月にチャリティーゴルフを開催の予定。このほか外国人留学生への奨学金給付、シグマソサエティである皇學館大學ボランティアサークル「たんぽぽの会」の奉仕活動支援なども継続。

 また、今期のリジョンテーマ「明るい未来をつくりましょう!女性と女児に光と夢を」に基づいて、来期の発足三十周年に向け、準備の年として取り組んでいくという。

 青田会長は「三十周年に向け、全員が一丸となって前に進んでいけるよう務めたい」と話していた。

 このほかの役員は次のみなさん。

 副会長=宮崎翠▼トレジャラー=平田輝子▼アシスタント・トレジャラー=中西味志▼レコーディング・セクレタリー=鉄田千秋▼コレスポンティング・セクレタリー=阿部みどり



豊かなセカンドライフ目ざし
来月10日 四日市で「定年力検定」
 豊かで充実したセカンドライフ≠過ごすため、最低限必要な基礎知識力を問う「定年力検定」が、来月十日午後二時から四日市商工会議所で行われる。

 内閣府認証・特定非営利活動法人 日本定年力協会が、昨年から始めた検定で、三重での開催は二回目。年金・保険、税金、不動産、資産運用、相続贈与の六科目の問題を三者択一で解き、各科目五十点以上、総合点四百二十点以上で合格。定年力アドバイザー制度もある。

 受験資格や制限がないため、定年を迎える人だけでなく現役の幹部社員、OL、学生など、幅広く受験が可能。前回の合格率は全国で七〇・四%、三重県で七九・一%だった。検定料は三千円。

 これに併せて、今月二十七日午後二時から同市のじばさん三重で事前講習会も開催。同市の公認会計士・小林克氏が講師で、過去問題の解説などをする。講習料は四千円(公式テキスト代込み)。

 検定、講習会の参加申し込みや、問い合わせは同協会三重支部FAX059(355)4800またはTEL090(5163)0410へ。



事業者がブログ学ぶ
楠町商工会がIT講習会開講
 楠町商工会(四日市市楠町南五味塚、小方修一会長)では、インターネット上の日記「ブログ」を学ぶ講習会を開いている。

 事業や地域の活性化に生かすためで、サービス業、飲食業、製造業者などの商工会員約三十人が参加。県内の商工会主催では、初の試み。

 講師は鈴鹿市のブログ運営会社、ベンチャー・オブ・アークの仲尾正人社長(25)ら三人。「ブログはホームページに比べ、低コストで簡単に活動できる。PRや売り上げアップの新しい手段として使う企業も少なくない」と説明。

 実在するブログをパソコン画面で見ながら、基礎知識や注意点を学んでおり、各自のレベルに合った個別相談も実施。次回の講習日時は未定だが、会員以外も参加できる。



FC設立で地域活性化を
県観光連盟が研修会開始
 県観光連盟(津市)は、映画やテレビドラマのロケーション撮影を支援する団体、フィルムコミッション(FC)について学ぶ研修会を、このほど同市の県地方自治労働文化センターで開いた。

 近年、映画などの撮影誘致が地域活性につながるとして、全国でFCの設立が相次いでいる。県内では「逆境ナイン」「ガメラ」を手がけた伊勢志摩フィルムコミッションが高い評価を受けており、そのほかの地域でも機運が高まっている。

 観光協会、観光振興課の担当者や旅行会社、関心がある一般市民など六十三人が参加。全国フィルム・コミッション連絡協議会専務理事の前澤哲爾氏が「フィルムコミッションのいろはを学ぶ」と題して、広島県や徳島県の例を挙げながら基礎知識などを話した。

 同連盟は、今年度中に三回実施する予定で、製作者側の声を聞いたり、ロケ地研修をする。



上空から山の絶景撮影
松阪市の地村さん 自ら操縦し北アルプスなど
 松阪市嬉野中川町のゴルフ場勤務、地村謄さん(60)は、小型飛行機の操縦免許を生かした山岳航空写真≠フ撮影に力を入れている。

 山好きが高じて二十歳で自家用操縦士の免許を取り、三十代で教官の資格を取得。各地で指導する傍ら、多くの絶景に出合い「一人で楽しむのはもったいない」と撮影を始めた。

 このほど津市一志町の松尾表具店で写真展「飛んで山紀行 北アルプス編」を開催。四年ほど前に飛行中に撮影した十八点を展示。

 西鎌尾根上空からの槍ヶ岳、晩秋の立山山頂、乗鞍岳山頂と権現池など、普段見ることができない上空からの山の美しさ≠伝えた。「北アルプスのシンボル・槍ヶ岳が好き。特徴があるので飛行中は道しるべ」という。

 ホームページでも作品を公開。「いずれは山頂にある池や湖をテーマにした写真展をしたい」と話している。



風景など42点で魅了
全日本大判写真連盟写真展
 手軽なデジカメが主流になっているが、大判写真愛好家グループ・全日本大判写真連盟(事務局・名古屋市)は、このほど津市の県立美術館で第十一回写真展を開いた。

 大判カメラはマニュアル操作で、「アオリ」が可能な蛇腹付き。人間の目に近い描写が追及できるのが特徴。フィルムも大きく、4×5インチ判だと35_判の約13倍の面積。

 連盟は十数年前「より高品質な作品を撮りたい」と東海三県の愛好家で結成。写真展のほか勉強会、情報交換、撮影会、ワークショップなどを催している。

 風景写真を中心に四十二点を展示。鮮明で全体にピントが合う独特な描写に来場者を魅了。さらに大判カメラも展示され、ファインダーを越しの被写体が上下左右が逆になっているなど、特性を体感した。



ネットラジオ・ツデラジ開局
 市民が自由に、情報を発信できれば━と、津市の市民活動団体・SP−ring(大平一智代表)が、インターネットラジオ・ツデラジを始めた。

 ネットがつなげるパソコンがあれば、誰でもいつでも聞ける。収録には県アマチュア軽音楽協会も協力し、機材や編集面はプロ並み。地元バンドのライブ告知、身の回りであったことなどをリスナーからの投稿で紹介している。

 津まつりなどのイベントでは公開録音し、来場者やステージを終えた人に感想を聞くなど、臨場感を伝えた。

 高校生の番組も制作の予定で、スタッフの川北輝さん(28)は「企画から話し手まで、興味がある高校生はぜひ参加してほしい。アクセス数が増加しているので浸透していくと思う」と話していた。



店舗を地域交流の場に
築120年超の横田材木店
 鈴鹿市江島本町の横田材木店は、店舗の一部を住民に開放。地域の交流の場≠ニして親しまれている。

 同店は大正元年に創業。建物は明治十八年に建てた二階建てで、五代目の横田真太郎さん(三六)の曾祖父が購入して住居や倉庫に使っていた。

 築百二十年以上のため耐震問題で取壊しも考えたが、参宮道沿いにあるので古い町並みの景観を壊したくない―と改築。一階部分を事務所のほか、土間部分の約二十畳を地域の人に使ってもらえるスペースにした。

 資材は、銘木や解体された江戸時代の古民家のものを再利用。これまでボランティアグループの会合や、津軽三味線のコンサート、座談会の会場としても利用されている。



自宅に人工岸壁を
岩登り楽しむ小西直人さん
松阪市五反田町、塾講師・小西直人さん(36)が、自宅のガレージ壁を、ロッククライミングの練習ができる人工岩壁に改装した。

 約三年前、塾生に誘われて同市のこどもの城でクライミングウォールを体験したのがきっかけ。体力だけでなく頭も使い、限界に挑戦できる“スポーツ”に魅了され、県内各所へ岩登り。

 雨や夜に関係なく練習できる場を━と、三ヵ月かけて人工岩壁を作った。高さ六bの壁に、樹脂をボルトで止めて岩代わりに。樹脂は取り外しができ、レベルに合わせてコースを換えられる。壁だけでなく、天井も使った上級コースも楽しめる。

 練習に来ていた同市阪内町、青木慶伍君(13)は「登りきった時の達成感がたまらない。大会に向けて練習に励みます」と話していた。



伝統技術を一般にPR
津市 掛け軸など95点、表具作品展
 県表具内装組合連合会は、このほど第二十回表具作品展を、津市のポルタひさいで開いた。

 伝統技術の向上と表具の魅力を一般に伝えるため、一級表具技能士約五十人が、掛け軸や額、びょうぶなど九十五点を展示した。

 三月に千葉県で行われた全国技能グランプリで、表具の部で二位になった藤原史紀さん(41)=度会郡度会町、藤原表具店=の受賞作品や書家・堀内公湖さんと青年部会員による共同作品もあり、三日間で六百二十人が来場した。

 来年は会の創設四十周年で、その記念事業の一環。村田義行会長(68)は「若手も育ち、研さんを積んでいる。文化財などの修復は、ぜひ加盟店に相談してほしい」と話していた。



三重刑務所で恒例の矯正展
家具など1万4千点余を展示・販売
 第二十一回矯正展が、このほど津市修成町の三重刑務所で開かれた=写真。

 受刑者が更生に向けて作った作業製品を販売、一般の人に理解を得るためで、同所と宮川医療少年院、津少年鑑別所の共催。

 家具、金属小物製品など、全国の刑務所から集まった約一万四千点を展示。中でも市原刑務所(千葉県)製のみそは、正午に完売するほど人気を集めた。

 また、三重の伝統工芸・伊賀くみひもの体験コーナーもあり、家族連れなど五千四百二十三人が来場した。



ケータリング業界で初
オーケーズデリカ ISOを認証取得
 桑名市蓮花寺の仕出し会社、オーケーズデリカ(川崎義久社長)が、食品安全マネジメントシステムISO22000:2005を認証取得した。ケータリング業界では初という。

 二年前から自社で製造する食品や加工品への社内基準を強化。さらに食品危害を防ぐための認証制度、HACCPの高い基準をクリアした認定工場を建設し、各工程で細菌の侵入や異物の混入などを防いで管理している。

 担当者は「弁当や給食の安全性とおいしさを追求。今後はISO9001の認証も視野に入れ、業界をリードしていきたい」と話している。



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