移動プラネタリウムで“出前授業”
四日市市立博物館と中学が協力
生徒の“理科離れ防止”に期待



 天文現象を疑似体験でき、学習効果も大きいプラネタリウム。最近のブームで、四日市市立博物館のプラネタリウム利用者数は増加傾向だが、授業時間の関係で学校ではあまり使われていない。同博物館と、中学校の理科教諭らが所属する三泗中学校理科研究協議会のメンバーが協力、移動式プラネタリウムの“出前授業”を始めた。移動式を授業の一環として、中学校と市立博物館が連携するのは初めてで、“理科離れ”を防ぐ上でも期待されている。


 同市の小学校はほとんどが社会科見学などに利用しているが、ゆとり教育の影響で、中学生の理科は週四時間から約半分にまで減少。プラネタリウム学習を断念する学校が多い。同館の天文係・伊藤達郎係長(46)らは「こちらから出向いてはどうか」と、独立行政法人・科学技術振興機構の「地域科学館連携支援事業に移動式の案を申請。全国で四例目の「移動式プラネタリウム」が貸与された。


 授業に合わせ、車いすでも入ることができ、定員は一クラス分あることなどを条件に、開発にも取り組んだ。


 直径六b、高さ四bのドーム型。遮光性の強いシートを利用、送風機で空気を送り込んでふくらます。従来の光学式ではなく、プロジェクターを使い、太陽や星空のシミュレーターソフトを利用するもので、今まで表現できなかったものが見られる。


 天文を学ぶのは三年生の十一月ごろだが、復習を兼ねた出前授業がこのほど、同市立富田中学校で行われた。


 現象が起こるたびに、「わあ、きれい」「すごい」と生徒たちの歓声。同市富田浜町、平下久雄さん(73)も、天文ボランティアの経験をきっかけに手伝うなど、地域の人も協力した。


 山北哲校長(59)は「天文専門の職員と教諭が一緒に進めることでよりよい内容に。理科は実験、観察をすることが大切です」と話していた。


 二十七日は西朝明中学校、来月十日は楠中学校で行い、五月の子どもフェスタ、九月の健康フェスタで一般に公開する。


 伊藤係長の話 生徒のアンケートで苦手な内容を反映させた。博物館側も人材育成に力をいれ、より多くの学校を訪問したい。


(小寺 あかり)


H18.1.11 第272号

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