徳風高に5年ぶり3回目の栄冠
全国定時制通信制軟式野球大会
“全員丸刈り”で厳しい練習



 定時制、通信制で学ぶ高校球児≠フ夢舞台・全国高校定時制通信制軟式野球大会。さる八月十三日に第五十三回決勝戦が行われ、亀山市の私立高校が五年ぶり三回目の優勝を果たした。選手がそれぞれの事情を抱え、甲子園と比べると派手さも認知度も欠ける。しかし、厳しい練習に耐えて白球に込める思いは一緒。二十五歳の熱血監督の下、わずか六人の新チームが、連覇めざして練習に励んでいる。

 亀山市和賀町の学校法人・三重徳風学園、徳風高校(中嶋功校長)。通信制だが全日型などコースがあり、県内外の生徒が在籍。不登校経験や事情を抱えた生徒にも対応している。

 軟式野球部は平成十一年に創部。昨年まで全国大会に六回出場し、そのうち二回は全国制覇を成し遂げた。今年は各ブロックを勝ち抜いた二十六校が集まり、同校は東海ブロック代表に。決勝戦で那覇商業(沖縄)を十一対三の大差で破った。

 「昨年負けた悔しさをばねに、強い気持ちで試合に臨みました」と岡橋雄一郎監督(25)は振り返る。

 岡橋監督は就任二年目。小学二年から高校まで野球部に所属。野球指導をしたくて教師を志した。攻撃より守備、走りを重視した練習とミーティングが特徴。「チームがあって自分があるんや」と繰り返し説くのは自身の経験からだという。

 全国大会で球児の茶髪、長髪、ピアスは珍しくないが同部は数少ない全員丸刈り=B「野球のためにボウズになれないなら、優勝なんかできへん」と部の決めごとにしている。

 礼儀や服装の乱れにも厳しいが、前チーム主将の前田勇磨さん(三年)は「今の監督にあいさつや人間として当たり前のことを教えてもらった」と話す。

 今や大会常連の湘南(神奈川)や天理(近畿一・奈良)と並び、強豪校の名声が高い。

 平日は津市内の球場を借りて練習。三年生七人が引退して、六人の新チーム始動は少し寂しい。新入生の入部に期待しながら、カバー力のあるオールマイティな選手の育成を目指す。

 尾鷲市出身で一人暮らしをする田中俊輔選手(二年)は、「応援してくれる両親にもう一度優勝で恩返しを。前チームより戦力が落ちているかもしれないが、やれることはいっぱいあると思う」と話す。

 中島啓吾主将(二年)は「全国出場を目指し、また優勝したい」と意気込んでいた。

(福家 明子)


H18.10.11 第284号

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