女性介護福祉士がプロレスラーに
津市の島崎さん “念願の夢"実りデビュー



 一度はあきらめかけた“幼いころからの夢"を再び追いかけている一人の女性。「仕事を通じて出会った高齢者や障害者に、残りの人生をあきらめずに生きる力を与えたい」と、年齢や体のコンプレックスをはねのけ、プロレスラーのデビュー戦に向けて猛特訓に励んでいる。


 この人は津市一色町の複合施設、つくしんぼの家・島崎晴子施設長(40)。


 自分にない“強さ”を持つプロレスラーにあこがれ、中学のとき、入門を夢見て全日本女子プロレスに電話したが、身長が足りず断念した。


 十八歳で出産、子育てを通じて周りの人から支えられていることを実感。「人びとと共に生きていける仕事をしたい」と専門学校に通い、介護福祉士の資格を取った。


 十年前、同市片田志袋町の自宅を開放。母親の春江さん(68)と共に、NPO法人・おもいやり介護の会、つくしんぼとしてリビングケアを始めた。


 利用者と触れ合う中で、障害や一人暮らしで弱気になる人の多いことを知り、生きる希望を持ってもらう手段に、かつての夢を思い出した。


 去る六月、障害児と交流を図る名古屋市のプロレス団体・NWD(高木茂代表)に問い合わせると「道場に来ませんか」と誘われ、練習の見学やリングにも上がらせてくれた。


 一度はあきらめたレスリングだったが、翌日から練習生として週に四日、愛知県津島市や刈谷市の道場に通って特訓を続けている。


 刈谷市での場外活動にも選手として参加。「体触らせてー」と、目を輝かせながら寄ってくる地元の障害児と、いつもとは違った目線で触れ合えたという。


 体にあざを作りながら仕事と両立。時間のやりくりに苦労するが、「練習に励む私の姿を見て、自分と照らし合わせて元気になってくれる利用者さんもいる。それが何よりもうれしい」と笑う。


 共に働く介護職員・木村若葉さん(24)は「夜遅くまで練習でくたくたのはずなのに、朝から元気ですごい。自分も頑張ろうと思います」と話していた。


 練習生となりわずか半年。いくつかの技を覚え、二十四日には名古屋レインボーホールでのデビュー戦に出場。「やられてもあきらめずに立ち上がる試合をしたい」と元気いっぱい。


 利用者の家族から「これ付けて試合出て」と、トルコの魔よけのブレスレットが贈られた。


 試合当日、つくしんぼのマークが入ったコスチュ―ムに身を包んだ島崎さんの雄姿に、会場から大きな声援が送られることだろう。


 (江川 智恵)



H18.12.13 第287号

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