大台町栗谷地区 体験民宿が2軒開業
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都市と農漁村の交流目的に


 田舎暮らしの雰囲気が味わえる「体験民宿」が、多気郡大台町栗谷地区(旧宮川村)に二軒開業した。開業に関する関係法令の規制緩和が進み、県内ではその第一号という。豊かな自然や素朴な生活に憧れる都市住民と、過疎化が進む農山漁村との交流で、地域活性化策として全国的に広がっている。県はこの取り組みを推進して手続きなどをサポート。十三日に開業を考える人向けのセミナーを開催する。


 体験民宿は、農林漁業者の副業として自宅の空き部屋を利用した小さな民宿。泊まるだけでなく、その土地の生活や文化を体験してもらい、地域の良さを伝える。滞在時間や回数が経済波及効果、住民の生きがいにつながるという。


 「自分の田舎、親元に帰ってきたつもりで、肩ひじ張らんとゆっくりしてって」。いろりのそばでにっこりと笑う川原清子さん(63)は、自宅横の納屋を生かして「体験民宿 川原」を始めた。


 落ち着いた風情の客室と薪(まき)でたく岩風呂。丹精した無農薬の野菜、山から引いた水も自慢の一つ。「以前泊まった人は、外灯がないと夜はこんなに暗いものなのかって感動していましたね」と話す。


 大阪で不動産業をしていた七年前に夫とIターン移住。「村の人に大切にしてもらっている。そんな地域の温かみを伝えるもてなしができれば」。


 「みくり」を営むのは、中江美春さん(50)。結婚後、夫の実家がある同地区へ。三年前から川原さんら有志と交流施設「夢楽(むらく)」で、そば打ちやこんにゃく作り体験の講師を務めている。


 これまでに少しずつ改修し、ほとんど使っていない母屋を活用。そばまんじゅうや団子など得意のおやつで迎えてくれる。


 「人と交流すると自分も楽しく新しい風≠もらえる。今後は田舎を求める都会の人に、長期で使ってもらえるようなスペースに整えていきたい」と意気込む。


 県農水商工部農山漁村室によると、平成十六年ごろから旅館業法、旅行業法など関係法令の規制緩和がされ、大規模な改修をしなくても開業が可能になった。東北や九州を中心に全国で増えている。県は関係部署、機関と連携して昨年六月に手引きを作成、手続きの相談などに応じている。


 セミナーは午後一時三十分から同町の奥伊勢フォレストピアで、開業を考える人向けに開く。県外の開業者が講演する。


(福家 明子)


H19.1.10 第288号

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