タイへ演奏訪問のサンタさん 三十年間、音楽を通して元気を与えている四日市市の東ソー音楽部「ズームアップ」。来月三日に市内小学校で演奏するため練習に励んでいるが、昨年十二月にはタイ北部の山岳少数民族の村へ演奏訪問。子どもたちのサンタさん≠ニなって生演奏をプレゼントした。
東ソー音楽部「ズームアップ」
各地でボランティア活動
社内の音楽好きが集まって結成し、ジャズや歌謡曲などレパートリーは約二百曲。名前は「音楽部も注目されるようになりたい」という気持ちを込めて名づけた―と、リーダーでトロンボーン担当の水谷和巳さん(54)。
メンバーは転勤などで入れ替わり、これまで約三十人が入部。人手が足りない時は、エキストラを頼んでしのいだ。現在は三十代から五十代までの八人が活動している。
当初は、会社の文化祭や運動会などで演奏。最近では、ボランティア活動として各地に出掛けることが多くなり、平成十七年には中国の少数民族を訪問。演奏を聴きたくて、二時間以上も歩いて来た子がいて感動したという。
タイ遠征は、中国に引き続いて日本ユニセフ協会三重友の会・杉谷哲也事務局長(64)の依頼から。「劣悪な環境の中で、必死にがんばっている子どもたち、孤軍奮闘する学校の先生を励ますのと、音楽の楽しさを教えることで交流が図れたら…」と決めた。
メンバー七人が参加し、四日間で村の小学校や市内の高校、ストリートチルドレンのための支援施設、少女職業訓練施設などを訪れた。
現地に入ると、中国以上の環境の厳しさにみんなは衝撃を受けた。サックス担当の辻本久也さん(54)は、「自分の子どもが現地にいたらどうなるんだろう…と考えた。衣食住が満たされなくても元気な表情で、子ども本来の心を持っているのに驚いた」と話す。
タイ国歌のほか日本や世界の名曲、クリスマスソングなど十七曲を用意したが、何の曲か知らない子たちも。しかし音楽以前に楽器が珍しかったようで、触りたくて近寄ってきたという。
一緒に遊んで交流を深めたり、会社と労働組合からのプレゼントや津市立南が丘中学の生徒、高田短大人間介護福祉学科の学生が作ったカードも贈った。
水谷リーダーの話
部屋の提供や、演奏会時の年休取得に対する職場の配慮はありがたい。地域にも受け入れられ、ボランティアの大切さもわかってきた。これからも全員で協力してやっていきたい。
(内田 敬子)
H20.1.9 第304号
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