公衆衛生医
タカオカクリニック院長
落合正浩氏(41)
津市河辺町

健康願う“地域の担当医”



 公衆衛生医とは“元気な組織や地域づくり”を担う医師。落合さんは、現代医学の臨床医、インドや中国などの伝統医学、フランスの海洋療法などの経験を経て、「楽しくて体に良い元気な生活」をテーマにした「トータルヘルスシステム」を開発しながら、一部上場企業などの公衆衛生医をしている。また会社や市町村の要請に応じて、メンタルヘルスセミナーなども行っている。


 津市出身。ぜん息に苦しむ母を見て育ち、「人体のことを勉強しておけば、世界中どこに行っても役立つ」と三重大医学部へ。卒業後は同大医学部産婦人科教室に入り、医療の前線で激務の日々を送った。


 疲労が原因だった二度の入院で患者の立場を知り、「休養、栄養、運動、メンタルなど生活の基本に立脚した医学を勉強したい」と退職。インドの伝統医学であるアーユルヴェーダを学び、現地留学も果たした。


 落合さんによると、公衆衛生学の明確な解答は未だに確立されていないという。しかし十年にわたって研究開発してきた「トータルヘルスシステム」では、健康づくりに必要な六つの基準“ユタカニアレ(豊かにあれ)”を設けている。


 有効、楽しい、簡単、日常に溶け込む、安全・遊べる、廉価―。最近話題の「ゆる体操」も熊野市など紀南地域の健康づくり事業で提案し、ダイエットや心の健康に成果を出している。


 「社会的役割を感じます。この仕事を通して、自分が何者かがはっきりしてきた。やっと面白くなってきましたね」と落合さん。


 平成十三年、公衆衛生専門のクリニックを名古屋市に開院。地名から「タカオカ」と命名。昨年夏に三重郡菰野町の湯の山温泉郷に移転。職場や家庭から離れたゆったりした環境で診察を受けられる。  


 さらに今月、津市丸之内に「楽しくて体に良い元気な生活」をテーマにした生活用品や食材、各種セミナーなどを体験・入手できるスペース「ポセイドン」を関連機関と協働開発して仮オープン。ノルウェー製のリラクセーションチェアなどは、県内で唯一、入手できる場という。


 「人の体にはすごい力が眠っている。脳はまだ10%ほどしか生かされていないという説も。本来の働きが出てきたらもっと豊かな生活が送れる。“人の体は素晴らしいんだ”ということを多くの人に発信していきたい」と話している。


 大学の同級生で、元耳鼻咽喉科医の妻広子さん(41)と、長女(12)、二女(9つ)、三女(6つ)の五人暮らし。


(福家 明子)


H17.10.12 第268号


[ バックナンバー ]

[ E-mail:toukei@inetmie.or.jp ]