阿漕浦友の会会長
久米 宏毅氏(61)
津市柳山津興

海辺や里山など再生≠ヨ努力



 「年配の人たちは、生活の中でスコップを使っていたが、今の若い人たちは一度も使ったことがないかもしれない。本当はこうした世代の人に活動への協力をお願いしたい」と話す。


 同市の阿漕が浦海岸などで、人と自然の保全づくりに、ボランティアで取り組んで十二年がたった。


 同市の出身。県立津高校から北海道大学農学部へ。農業生物学を学んだが、幼いころから変わりゆく津の海の姿をみてきた。


 このままではいけないーと、中学時代の友人と「阿漕が浦でグリーンボランティアをはじめませんか」と地域の人や親戚に呼びかけ、約二十人で同会を発足させた。


 現在の会員は九十六人。多い時は百二十人いたが、最近は減少しているという。


 海岸一面に、高さ1b余りに育った雑草の草刈り、空き缶やごみ拾いなどの清掃奉仕。さらに知り合いの園芸店の協力で、パンジーを植えて花壇を。美しく変化する海岸に会員らは歓声を上げたという。


 やがて地域の人たちも協力してくれ、その後は月二回の活動を基本に、クロマツ、ハマボウなどの海浜性の花木を植樹し、保全活動を続けてきた。


 七年前には、市内育生小学校の校庭にビオトープを造営。子どもたちに自然の魅力、大切さを伝えている。


 十年前からは同市久居でバリアフリーの里山づくり≠。お年寄りや障害の人たちが、安全に過ごせる憩いの場を提供した。


 昨年からは伊勢湾や阿漕が浦の環境を訴える活動を実施。五月の連休に約10万人の観光客が訪れるこの砂浜に、「豊かな海を呼び戻そう」と書いたのぼりを立てるなどして啓発運動を呼びかけている。


 一方では、中秋の名月≠ェ美しいころに、海から上がる月とともに能を楽しむ「迎月の宴」を十数年間継続。地域の活性化に協力している。


 「阿漕が浦だけにこだわらず、伊勢湾という大きな視野に立って自然の再生に努めたい。市民団体でもできたのだから、国や県が協力してくれればもっといろいろなことに取り組める」と意欲を燃やしていた。


 自然をはじめ動植物を愛する久米さん。自宅では、カナリヤやインコなど十五匹の小鳥を飼っている。近年は随筆に凝っているとか。


 母と妻の三人暮らし。子どもたち(長男、長女)は独立。


(木下 英里)


H19.5.9 第293号


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