中島製茶(株)代表取締役
中嶋 正 氏(77)
四日市市追分
伊勢茶の良さを全国発信
「約千年前から伝わるお茶、体にも良いとわかっていたから、全国に広まったのでしょう。わたしはこの仕事を、とても誇りに思います」と話す。
明治八年創業で、県内で最も歴史ある茶問屋の三代目。緑茶の再製加工と卸売販売を行い、富山県と北海道に営業所を置き、全国各地の店舗に商品を配送している。
旧東海道と旧伊勢参宮街道の分岐点であり、江戸時代からにぎわいのある要所だった「日永の追分」。ここで代々営まれていた宿場旅館・丸屋が前身。
明治維新とともに世相が変化、それに対応して米の仲買をはじめたのが商いの始まり。米穀肥料問屋を経て茶を扱うようになったという。
先代・末治郎氏(故人)の代には北陸、四国地方にも販路を開拓。昭和初年には全国的に得意先を広めた。特に昭和八年、満州(中国)鉄道消費組合へお茶を納入することに成功、主力業者として認められた。
昭和二十二年に中島製茶株式会社に組織変更。三年後に後を継いだ。
工場で、加工の仕事を身に付けたのは四日市商業学校卒業後。そして、「売る・扱う」ということ学んだ。
家業に関しては好きなようにさせてもらったが、父はとても厳しかった。こうと思っことはやり遂げる人だったからーとお客との信頼関係を築き上げた努力を尊敬する。
茶の仕入れは県内の茶農家から。七割は四日市、鈴鹿 亀山、三割五部は飯南や大台など。安心と安全を特に注意し、最新の設備で加工。代々伝わる奉仕の精神≠モットーに、消費者に商品を届けたいと考える。
近年は、健康志向を背景に、ヘルシーな飲み物としてお茶が見直されており、健康茶の取り入れも。
また、茶の流通に対しての貢献が認められ、平成元年に藍綬褒章。昨年には双光旭日章を受賞。
「県内の茶業会で、二つの章を頂いたのはうちだけだと思う。父と同じ章を受賞できたことは何よりもうれしい」という。
一方では県の農林水産品を選定する「三重ブランド」としての認定を受けた。味の濃さに定評のある伊勢茶≠フ特徴を引き出し、全国へ発信しているほか「伊勢茶リフレッシュ運動」を展開。全国第三位の生産を誇る伊勢茶≠フブランド力向上、品質向上など、業界の先頭に立って積極的に活躍している。
県茶業会議所会頭、県茶商工業協同組合理事長も努める中にあって、趣味は読書。最近では、健康に関することに興味を。毎朝、愛犬との散歩は欠かせないという。
市内で妻と二人暮らし。子ども三人は独立。
(木下 英里)
H19.6.27 第295号
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