県奇術協会会長 奇術師範 催眠術師
坂倉 元生氏(80)
四日市市楠町
奇術で人々の心を和ませる
奇術家と税理士の二つの顔≠持つ元気いっぱいのおじいちゃん。
その秘けつは、趣味を持つことのようで、「自分が出来る最高の演技を披露して、観客を不思議な世界に連れていってあげることを心掛ける。そうすれば、楽しい心になります」と話す。
三重郡楠町(現・四日市市)出身。旧制の神戸中学へ進学後、教員を経て日本大学へ。勉学に打ち込み、在学中に国家試験上級職に合格。英語雑誌がない時代に「市場分析より見たアメリカ経済の特質」という卒業論文を出したところ、教授から褒められたという。
卒業後は大蔵省、国税庁を経て四日市市内の公認会計士事務所へ。その後、税理士事務所のだいひょうになり、日本税理士連合会長から功労賞を受賞した。
奇術との出合いは三、四十年前。テレビを見て「奇術の魔力に魅せられ自分はもっと愉快なものをやってみよう」と、始めた。
当時はまだ珍しく、独学で技を磨いて定理と原理を考案。中でも交通安全モノは、交通安全啓発に貢献。衣装替えの瞬間技や、美女の空中浮揚・胴抜きなど、レパートリーはいっぱい。
津市の文化会館の会館記念行事や、市内の老人会、子ども会などさまざまな場所で発表。全国大会のほか、日本代表として中国文化省主催の上海国際大会、ニューヨーク・カーネギーホールにも出演した。
これらを通じて「言葉が通じなくても、手品に言葉の壁はない」と感動。中国からは「日本の桜の木を持って、手品をしに来てくれないか」という手紙が届いたが、事情で断念。応えられなかったことが心残りだったという。
一方で、全国で数少ない日本奇術協会の奇術師範。著書出版や講習会をするほか、津中日文化センターの講師も九年前まで務めた。
平成六年には三重奇術愛好会、鈴鹿奇術愛好会、伊賀奇術クラブなどで県奇術協会を結成した。奇術に興味のある人なら入会でき、現在の会員は約三百人。
まつり博で発表したほか、三重奇術愛好会の発表会を引き継いで毎年発表会を開催。二十六回目の今年は九月九日に熊野市で開く。
「会場いっぱいにお客さんが集まる盛大なマジック発表会を開き、他人に出来ないことをやっていきたい」と意欲を燃やしている。
取材時に、トランプやフラワーを使った手芸品を何種類か見せてもらった。「えっ?何で?」と、思わずいうほどで、笑顔をいただいた。
事務所を手伝う妻(七五)と長女(四六)の三人暮らし。
(内田 敬子)
H19.8.8 第298号
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