三重県腎友会会長
 西山 幸生氏(58)
 伊勢市小俣町本町

腎疾患者のケアに奔走



 腎疾患による人工透析患者で組織し、腎移植の推進や医療・福祉の向上を目指して活動。自身も透析療法二十年に。昨年四月、会長に就任した。


 以前から腎臓が悪かったが、オートバイ事故で左足を骨折し、その後、腎不全になった。勤務先の横浜ゴム三重工場(伊勢市)を休職、復帰してからは夜間透析をしながら勤めた。


 「体調が悪いときもあり迷惑をかけたが、嫌な顔をせず受け入れてくれた職場の上司、同僚に感謝。また妻の支えが何より大きかったです」。昨年三月に早期退職、会の活動に専念している。


 同会は、全国腎臓病協議会(東京都)の傘下で昭和五十年に設立、会員は千五百人。


 県内の透析患者は昨年末で三千五百七十八人(日本透析医学会調べ)。患者の高齢化とともに、近年は糖尿病性腎症の患者の増加が目立ち、重症の人も多いという。


 また、医師や看護師の減少で、公立病院の透析施設の縮小が相次いでいる。「患者は増えているのに受け入れに限りがあるのは納得できない。特に夜間透析を廃止するところがあり、働く患者とっては深刻な問題」と話す。


 活動を通じてさまざまな人との出会いがあり、話し合う機会に恵まれ、勇気づけられてきた。しかしその一方で、先に亡くなる多くの仲間を見てきた。


 同会によると、数年前までは会員の約一割が毎年亡くなっており、この病気の恐ろしさを改めて感じるという。


 来月は臓器移植普及推進月間。七日には、腎移植への理解と関心を呼び掛ける街頭キャンペーンが全国で展開され、県内のショッピングセンター九カ所でチラシなどを配る。


 県内の移植希望者は百六十人。十五年以上待っている人や待ち続けて登録をやめる人も。「臓器移植法改正案は今年も審議されず、米国並みに二、三年で移植が回ってくる時期は程遠い。移植を待つ患者が希望を持てるよう、国に働きかけたい」と話す。


 病気腎、高額な費用をかけた海外での移植に触れ「リスクが大きく、病院でのケアなど考えなければならないことがあるのでは…」と慎重な考えを見せた。


 現在、県の心身障害者福祉医療費助成制度の見直しについて、一万人を目標にした署名活動を実施中。大きな後退がないよう県に要望する。


 NPO法人三重難病連、みえ医療と健康を守る会、三重角膜・腎臓バンク協会の理事も務める。


 同市御薗町の自宅で妻(57)と愛猫三匹と暮らす。長男は東京都、長女家族は多気郡明和町に在住。(福家 明子)


H19.9.26 第299号


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