学校法人あおい学園  理事長
 新井敬夫氏(四八)
 四日市市大矢知町

幼稚園は人間を耕すところ



 畑で例えると、幼稚園は人間を耕すところ。耕さないで、超早期教育や詰め込み教育をしては育たない。英語や異文化、遊び、自然などいろんなものを体感させ、いろんな可能性を与えてあげたい―が幼児教育≠ヨの持論。


 東京で単身赴任しながら大学の教壇にも立つ。週末は四日市市へ戻って幼稚園理事長と、多忙な日を送る生活も間もなく二年になる。


 栃木県足利市出身。根っからの探検・冒険好きで、少年時代は野山を駆け回ったり、高校時代は自転車旅行などに出かけるほどの行動派。小学生のころに読んだ「コンチキ号漂流記」の影響で、アジアやアフリカへ目が向いたのかも…と。


 筑波大学では異文化について勉学。その中で発展途上国開発政策に興味を持ち、京都大学博士課程では途上国の経済分析を専攻した。


 その後、名古屋市の国連地域開発センターで研究員を。三十代半ばで東京の私大に赴任。助教授、教授と昇任し、学生へ教べんを執っていた。


 しかし二年前、妻の父が病気で急死。妻の実家は祖母が創立した幼稚園を運営しており、死去によって理事長が不在に。


 「急なことで戸惑う暇もなかった。断るのは簡単だが、引き受けた限り一生懸命がんばりたい」と、勤務する大学側の許可をもらって理事長に就任した。


 先々代、先代が築いたあおい幼稚園と桜あおい幼稚園は園児八百四十人、職員約六十人がいる大規模なもの。自然を取り込みながら、感性豊かな子どもたちを育成する「体感教育」。この方針に自らも感銘と受けて、継承。


 直接園児とかかわる時間はないが、各部署の職員の話を極力聞きながら、自主性に任せて見守る体制を取るなど、基礎の上に長所を伸ばすような経営を心掛けている。


 今後は、子育て中の母親への支援も視野に入れた幼稚園の役割も必要―と指摘する。


 これまでの園児の送迎、保護者と担任の連絡帳やり取り、PTA活動のほか、子育て世代に必要な病気の知識、しつけ、仕事との両立など、育児全般にかかわる情報を提供する「総合子育てセンター」のようなものを作っていきたいという。


 取材したあおい幼稚園は、四年前に大通りから少し路地に入った所へ移転。先代が残した新園舎は安全と自然との調和≠ェ整っていた。


 趣味は音楽鑑賞と自動車。車で東京から四日市まで移動する時は、お気に入りのジャズCDなどを聴きながら運転。東京では自転車を移動手段に使っているが、街のにおいや音などを感じ取れるのが心地よいという。


 妻(四二)と三人の息子(五歳の双子と九カ月)は、四日市市在住。


 (内田 敬子)


H19.10.24 第301号


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