常夏の庭、日本の庭。 志乃美ちゃん、実はダメイド発覚事件から1週間。 火乃守家は相変わらずのダラダラぶりでした。 「で」 「はい」 「ここまで凄いとは思わなかったよ」 「すみません…」 料理をすれば産業廃棄物。 洗濯をすれば地面に落として2度手間。 掃除をすれば開始より汚れてる。 夜伽には来ない。 「いや、夜伽は関係ないっしょ」 はいはい、ニュータイプ、ニュータイプ。 「そこで、志乃美強化計画を発動する」 計画の内容はこうだ! 1.芹菜が付きっ切りで特訓する。 2.なのはが全面的に仕事をする。 「うそん!?」 「本当」 「私の仕事が多すぎるじゃないですか!」 「しばらくの我慢だ。じゃあ早速今日から始めてくださいな」 「「「はーい」」」 気づけば“ご主人様”が板についてしまった。 同時に色々と問題点が浮上してきた。 かなり気になる事が多いのだが、特に先日から母親に連絡が付かない。 マジ付かない。 「ご主人様〜」 茶髪がやってきた。 どうせ仕事の量が多いとかそんな感じだろう。 「仕事の量が多すぎる〜!」 やっぱりな。 「オールワークス様が何を言ってるんだ、さっさとやれ(・∀・)ニヤニヤ」 「そんな事言っても、一人でこの屋敷の面倒を見ながら、学業も続けるのは大変すぎるよー」 そうだ、俺も転校して一週間が経過したが、意外にもコイツと同じクラスだったりする。 怒涛の学生生活は第6話辺りで語るとしよう。 そう言いながら俺は用意された紅茶に口をつける、優雅な夜だよな… どたどたどたどたどたどた 優雅だったんだけどなあ〜 「見つけた!見つけました〜!!」 「もう声を聞かなくても誰かわかるようになったよ。で、何がわかったよ?」 「ふっふっふっ、この偽メイドが何故オールワークス準1級止まりなのかを!! こ、こいつはメイドの練習もせずに、そんな事調べていたのか(´Д`;) 「曰く、『オールワークスは上流階級以上の生活において、個人1人が対応可能な家事、来客対応、家人の補助を 家人及び、執事長/メイド長の命令を等しく遂行しつつ…主人及び、周囲が“円滑に生活できる環境を構築”する 事ができるメイドを指す。また執事長/メイド長の場合、円滑な指示、命令を下せる者を指す」 ふーん、メイド長ねぇ。 「すなわち!何でもそつなくこなせて、芹香さんと同等のスキルを持っているにも関わらず、“準”1級なのは性格に問題があるからです!!」 「なッ!アンタ、何でイチイチそんな粗探ししてるのよ!大体今日の訓練はどうしたのよ!私の仕事物凄く多いんだからね!!」 「べー、今日の訓練は終わりましたよーだ」 「そもそもオールワークス1級評価は様々な要因が重なるものよ。性格だけで昇格試験に落ちたかどうかわからないじゃない!」 「そんな事言って〜貴方のスキルを見ていれば完璧なのはわかるわ。なら問題は性格だけじゃない」 志乃美がなのはを認めているのか認めていないのか、微妙にわからんくなってきたわ。 「なぁ、志乃美」 「はい!?」 「と言う事は、なのはのスキルは認めるのか?」 「ええ、もちろん」 俺はなのはと顔を合わせる… 意外だ。 「彼女はメイドとして、勉強になる部分は大いにありますから」 なるほど、志乃美は嫌な物でも、評価するべきところは評価するタイプか。 学校の教師なんかが向いてるな。 で、それ以上になのはの態度が気に入らないと。 「そういう事ですわ」 「ふーん、なるほどねー嫌な気分じゃないなぁ」 あのなのはが微妙にはにかんでいる。ちょっと可愛い。ちょっとな。 褒められるのが嫌いな人間はいないと思うが、彼女はあまり褒められる事がないのだろうか。 「昔から家の教育で無理矢理やらされていただけで、メイドが好きじゃないのよ。だからその反発かな?」 「じゃあどうしてここに志願したの?」 「だから、メイド喫茶のバイトだと思ったんだってば」 やっぱり本気か!つか契約書読め!(´Д`;) …ん? 「ちょっと待て、全員どうやってここの事を知ったんだ?まさか求人誌じゃないよな」 「…どこって、ねぇ?」 「うん…」 先日からの違和感が、具体的になってきた。 俺は談話室に全員を集めた。 「で、君達はどのようにここに応募したのか聞きたいのだが」 「私は普通に連盟からの派遣命令を受けて、こちらに参りました」 「私も連盟からこちらに来るようにと…」 「なるほど、二人は日本奉仕連盟だっけ?に加盟しているからな。なのはは?」 「バイトを探していたら、叔父がメイド喫茶のバイトがあるぞって言われたの。叔父からの誘いだから契約書も何も読まなかったのよ」 どんな叔父だよ… 「志乃美、連盟からは何て言われて派遣されたんだ?」 「…火乃守家からオールワークス1級、特殊登録の3年雇用契約が来たと」 「特殊登録?」 「あれよあれ、中にはご主人様のように、雇ったメイドとのあばんちゅーるを期待して、ドジっ娘メイドを雇ったりする人もいるのよ」 んなわけねぇだろ…と芹菜と志乃美の方を見ると、二人とも具合の悪そうに顔を逸らしていた。 まさかな… 「いえ、実際にその様な理由で雇われる方がいるのも事実です…」 マジッスか!? 連載4回目にして、ついにリアリティを失ってきたー!! 「しかし、連盟の規約により、メイドは如何なる理由があろうとも、主人との性的接触を禁止されています。 メイド側がその規約を破れば、連盟から追放処分を受けますし、顧客側が破れば、今後は連盟からメイドを雇う事ができなくなります」 「そりゃそうだよな、常識的に考えればありえない事だし」 おや、何だか三人の視線が痛々しくなってきましたよ? 「ど、どうかしました?ご婦人方」 「もちろん中には上級オールワークスを雇う資産がない方や、お子様のお守や情操教育のために、低階級にオールワークス特権を与えて雇う場合もありますが…」 「ぶっちゃけ、この現状じゃ志乃ちゃんはご主人様の夜伽ポジションよね」 「……」 そうきたかー!! そうだ、ここには子供もいないし、俺の家から言ってオールワークスが3人雇えないなんて事もありえない。 オバサンが隠れて雇ったとは言え、家の個人資産は全部あの人が管理しているから、料金をケチるとも考えにくい…となると俺の夜伽専用!? 「…!!異議ありッ!(・∀・)9mビシッ」 って俺もそろそろいい歳なんだから、ゲームばっかりやるのも考え物だな。 「前回、母親に電話した時に、メイドには手を出すなと言われているので、それは考えにくい!つーかアイツが異性交遊を推奨するはずがない!」 「確かに、奥方様の性格を考えればそうですよね」 「待ったッ!(*´Д`)つ ズギャーン」 なのは、お前もかッ! 「それは建前で、息子の成長を案じている母が、適当かつ従順なメイドに筆下ろしの役割を持たせた可能性もあります!」 「なのは…貴女、楽しそうね…」 「志乃美は可愛いが、夜伽なら技術が高そうな芹菜の方がいいなぁ…(*´∀`)」 「「「………」」」 あれ?なに、この沈黙。 「ご、ご主人様!私だって多少なりともぎ、技術はありますッ!」 「いや、その、あの、そもそも私はそんな、技術って、ですから、いや(以下ループ)」 うむ、まさに混沌と書いてカオスだな。 それよりも笑い転げている茶髪がムカツク… 「聞いてるんですか!ご主人様ッ!!」 「ですから…その…あの…別に経験がどうとかは…人生なんですし…」 「あッ、ははははははははははは、ひぃーっくっくくくくッ!〜〜〜〜〜(声にならない)」 今日も世間は平和だが、ここは荒廃してるなぁ。 |
![]() |
![]() |
![]() |