こちら第5補給隊 第二話 闘争と逃走 「いやぁ、ありえないくらい巨大な機動兵器が襲ってくる夢を見てさー」 「夢は夜に見てよぉぉっー!ひゃあ!」 鳴り響く轟音、ディアボロスからの砲撃は砲撃と思えない精度で御刀達を襲う。 「あいたたた…レールガンより副砲の方がきついなぁ…ディート!副砲に対してATM準備急いで!」 「ちょ、無茶言わないでよ!私は補給メインで、戦闘講習は全部寝てたんだから!」 「自慢しないでよ!さっさとする!」 「はいはーい、きなこ軍曹は怖いわー」 そう言いながらも、ディートは慣れた手つきでATMを起動し、照準を合わせる 「目標、敵左翼砲塔。あと私は少尉!うてぇえええ!」 「放たれたATMはその特性上、目標に向けて直進し砲塔に対して命中。カンッ!と爆音を立てて…カン!?」 副砲に命中した弾頭は、何事もなかったかのように地面を転がる…ナレーションをしていたディートがきなこと顔を合わせて叫ぶ 「カンッ!って何よ、カンって!最低でも信管が着火してボンッでしょ!?」 その時、運転に集中していた御刀が口を開いた。 「真空防壁だ」 「しんくーぼーへき?」 「ディアボロスの特殊機構の一つだ、瞬間的に機体周辺を真空状態にする事で、全ての爆発物の効果を無効化する。ある意味デ赤の防御円だな」 「な、何よそんなの反則じゃない!ってかディアボロスって何よ!」 「ディアボロスは陸軍総合研究所が提案し、陸軍第4、第5研究所共同で開発された大型機動兵器だ」 「詳しいわね…」 御刀は少し落ち込んだように話を続ける 「俺と同期で提唱し、開発した。つまり…わかるな?」 「はぁ!?月下って兵器開発できるの!?」 やっぱりな。そんな顔をした御刀は、答えを求めるようにきなこの顔を見る。 「対策もご存知…ですよね?」 「さすが社日将軍だ。いいか、今から全ての武装を投棄、その後最大速力で…撤退だ!」 「りょーかーい」「り、ええっ? 「行くぞ!」 「あいさー!120o対装甲砲、ぱーじ!」 「あ、ああっ、えーっと、重装タンクを投棄します」 「ちょ、ばかきな!タンク落としたら帰れないでしょ!」 「えっ、あ、ごめんなさい」 「つぎー!ATMぱーじー!」 一方、ディアボロス内部 「エドゥ指令」 「何だ、稼働中だぞ。コンストレーションできぬではないか」 「目標が武装解除、その後本線から離脱しました」 「何だと!チッ、御刀め…追跡は?」 「サイズそのものに差がありすぎます。追跡は…難しいかと」 「そうだな、少し遊びすぎた。一度司令部に戻って補給を受ける。…鳳仙花はどこだ?」 「多分、弾薬庫ではないかと」 「フンッ、極端な奴め。鳳仙花の所へ行く、エンシェンスの操作は任せたぞ」 「了解…」(また、鳳仙花か) (御刀、貴様はディアボロスと思い込んでいたのか?この程度の違いがわからぬとは、俺の思い過ごしか…) 「風条寺、戦闘指揮は誰が取っていた?」 「指令のディアボロス戦術マニュアル、第2項の対ソフトスキン攻撃を基に私が指揮しておりました」 「お前の指揮能力を否定するつもりはない、私のマニュアルに不備があったのだろうな」 「ディアボロスとエンシェンスの違いではないでしょうか?」 「このエンシェンスは試作だ。武装や運用はほぼ変わらん…後は任せたぞ」 「はい」 国道23号線、桑名周辺 「御刀大尉、どうして撤退なんですか!」 いつもに増して、凄い剣幕のきなこが御刀に攻寄る。 「決まってるでしょ、バカきな」 「バッ…!?うるさい!バカって言う方がバカだよ!」 些細な事でムキになるのは、彼女に余裕がないからだろうか。いつもと立場が逆だ。 「ちょっと考えればわかるでしょ、たかが補給輸送車1台でどうやってあんなバケモノ倒すのよ」 「うっ…」 「そうだな、悔しいが舞の言う通りだ。通常火力で奴を倒すのはかなり厳しい、だがそれは補給車の話だ(キレてるきなこ萌へー)」 「何か方法が?」 「攻撃機による空爆ならさほど苦労はない。あの戦闘で奴は必ず補給に戻る。小牧の空軍はほぼ壊滅状態だが、鈴鹿もしくは空母艦隊ならそこを叩けるだろう」 「と言うわけ、私達は私達なりに結構仕事をした方よ」 「そうなんだ…」 (あれがディアボロスならな)「さて、本部に連絡もしないといけないし。そろそろ戻るか」 「了解」「りょーかーい」 こうして突然の戦いは幕を閉じた。 その後ディアボロスに対し、大規模な一斉爆撃作戦を展開し、戦術自衛隊は辛うじて勝利を収めた。 結果、対韓国儀仗団の勢力は衰退し、中部圏に一時的な平和が戻った。 戦術自衛隊は撃破後のディアボロスを調査したが、搭乗員の姿はなく、ディアボロス自体も開発不明のオリジナル機であった。 対外的には対韓国儀仗団が盗んだディアボロスのデータを基に、第三国が開発した物と発表されたが、 そんな機密性の高い資料が1テロリストに盗まれた点や、第三国から秘密裏に輸送できるサイズではない点などから、市民の理解は得ていない。 真相は国家諜報部と関係者のみ知る事となった。 こちら第5補給隊 伝説の補給隊 第二話 闘争と逃走 完 |
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